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なんだか、本当に頼りない男性だと思った。これで本当に刑事なのだろうか。……とは言え、警察なんてこんなものだろうとも思う自分も確かにある。
彼らは結局、大したこともできずに、こちらに『大丈夫ですよ』とニコニコ言うだけなのだから。
私が、助けを求めた時だって、彼らはなんにもしてくれなかったのだ。
――ストレスが、溜まっていると思いなおした。
別にこの千原マサオが私のストーカー事件をほったらかしたわけじゃないのに、彼に対して嫌味を言いそうになっていたのに気が付いた。
私は、ぐらぐらする脳みそを冷ましたくて、鼻ですぅっと呼吸した。
まだうっすらと雨の香りがして、頭を冷ます役割に一役買ってくれそうだ。
「あの、今日お昼って、空いてませんか?」
千原さんが拳を固く握って正面の水たまりを睨むようにしてそう言った。なんだかガチガチで力のこもった言葉に、私はちょっと気圧された。
「時間は、作れますけど……」
「ほ、ほんとですか?! じゃあ、近くに食事に行きませんかッ!」
声が大きい、せっかく人目を避けるために選んだ場所なのに、これではキャンパスに響き渡ってしまうではないか。
私は少々慌てながら、彼の誘いを断るしかなかった。
「すみません……私……食事は、できないんです」
「えっ……あ、す、すみませんっ!! ちょ、チョウシに乗ってしまってッ……」
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