サキミタマ④ ~二十日、二十一日~

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「……まぁ、嫌われるのも仕方ないか。全然知らない男に名前まで知られてりゃ気味も悪いだろう」  ノイローゼになるほどとは、よほどつらかったんだろう。思い返しても彼女の顔はやつれていたし血色も悪かった。  そう言えばなんだか例の女子高生殺人事件の事を気にしていたが、視線の話とは関係あったのだろうか?  あの時は、僕も舞い上がっていたから、彼女の話をきちんと理解せずに頷いたりしてしまった。  ――一刻も早く犯人が見つかればいいと思ってる。頑張ってください――。  そんな事を言われて、思わず「頑張ります!」なんて返事をしてしまったっけ。なんというか、本当に自分の落ち着きのなさがかっこ悪いと思う。  女性というのは、どっしりと落ち着いた男に惚れるもんなんだから、僕なんかはやはりお話になるわけがないのだ。 「でも、……なんであんなにあの事件の事、気にしてるんだ……? やっぱり、女の子を狙った殺人だから、怖いってことか?」  なんだか妙に気になって来た僕は、その事件に関して調べてみる事にした。  風呂から上がり、自室のパソコンで記事を集めては読み漁る。匿名掲示板でも情報を集めてみたら、割と色々出てくるものだ。まず驚いたのが、妹の通う学校の同学年の女の子が殺されていたと知ったことだ。     
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