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やはり、気にしすぎか。というか、もう会わないときっちり宣言したばかりなのに、まだ彼女のことを考えてこんなことを調べてしまうあたり、自分はストーカー気質があるんじゃないかと考えて情けなくなってきた。これでは、彼女が逃げ出したって不思議じゃない。
僕は気分を変えようと、パソコンから音楽を再生させて、ベッドに身を投げ出した。
明日から通学は自転車で行くか――。
もうあのバスは使わない。彼女が気にしてしまうだろうから。
もし万が一大学で鉢合わせでもしたら、その時はもう彼女を事を見ないようにしよう。
少しでも、彼女の心を安らかにしてやりたい。あの人は、人に怯えて生きるような女性じゃないと、僕は知っているから。
――あくる日、六月二十一日、金曜日。天気は晴れていた。
朝起きて、日ごろ使わない自転車を倉庫から引っ張り出して点検していると、妹がこちらをじろりと見てから自転車に乗って学校へと向かった。まだほとぼりは冷めていないらしい。
「一年くらい使ってなかったけど、乗れそうだな」
なんとか問題なく自転車が動くことを確認して、僕はそれをギコギコ言わせて通学することとなった。ギアだかチェーンだかがさび付いているらしく、こぐと変な音がするのが最高にダサい。
普段バスを使って大学まで行っていたので、なんとなくバス通りを走りたくなってしまうが、それで彼女に見つかってしまったら、本末転倒だ。
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