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ちょっとだけ興味がわいた僕は、寄り道をすることにした。その殺人現場に――。
そこは住宅地で坂が多くて自転車では大変だった。急勾配のある地形に住宅地を作ったため、坂道が続き、民家の向かいにコンクリの壁がそびえていて、その上に民家がまたできているような造りだった。
しばらくそのあたりを自転車で走り回ったけれど、具体的にどこで殺人があったかは情報に伏せられていたので、分からず仕舞いで、結局現場そのものを、僕は確認できなかった。
――犯人が見つかればいいと思ってる――。
そう言っていた。でも、もうニュースでは教師を逮捕したことを報道していた。
あとで冷静になって考えてみると、なぜか百田さんは僕を刑事だと勘違いしているようだった。なぜ、そう思ったんだろう。
例えば、僕を刑事として考えていたと仮定して、あの日のやり取りを思い返すと、なぜ百田さんはあの時、あんなことを言ったのだろう?
自転車をこぎながら、不意に浮かんだ疑問が心の中に、妙に引っかかった。
事件を気にしているなら、教師が捕まったことは知っているはずだ。
だったら、『あの教師が犯人なんですか』と聞いたほうが確実だし、自然じゃないだろうか――。
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