アラミタマ① ~十三日~

2/11
前へ
/241ページ
次へ
 彼女の下半身、主に下腹部がえぐり取られていたのだ。より、正確にいうならば、彼女の子宮が腹を裂かれて引きずり出されていた。しかも、その肝心の子宮は荒々しく切断でもされたのか、現場には残骸しか残っていなかったわけだ。華奢な少女の腹部には赤黒い穴が開いていて体内を覗くことができ、そこにはぐちゃぐちゃと潰されてしまった臓物が散乱していた。  かなりの異常性ある犯行で、犯人像は変態で間違いないだろうと考えた。  問題は、どうやって腹を裂き、その中身を引きずり出したのか。凶器のようなものはどこにも無かったし、証拠になりえそうなものは現場で今のところ見つかっていない。  これだけの犯行があったなら、少しは騒ぎになっているから近くの住人が何か聞いている可能性はあると五十嵐警部は言ったが、残念ながらまったくもって有益な情報が得られなかった。 「第一発見者はどうだったんですか?」 「近所の若い女性だ。仕事……というかバイトのようだが……帰宅途中に見つけたようだ。発見時刻は二十二時十五分。まだはっきりとはしとらんが、あたりの血痕の状態を調べたところ、犯行時刻は二十二時から二十二時十分だとさ」 「……つまり、犯行直後に発見されているんですね。その女性、何か見ていないんですか?」  五十嵐警部は首を横に振る。     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加