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いずれも若い女性だが、行方不明になっているということがここ数か月で四件は上がっている。最初は生活安全課が担当していたが事件性が強くなってきてからは我ら刑事課も警戒していた矢先の事件だった。だから五十嵐警部は、今回の事件が関連性があるかどうかを訊いてみたんだろう。
「正直、今はなんとも……」
「直感でいい」
「直感、スか……。違うと思います」
「なんでだ」
「いや、チョッカンです……」
「……」
直感でいいって言ったから、直感で答えたのに、五十嵐警部はオレの言葉にジロリと目線を差し込んできた。理不尽だ。
そもそも、まだ何にも分かっていないんだから答えようもないじゃないか。捜査はこれからなんだ。オレは最後に確認するため、もう一度被害者の四谷ココロの躯を調べていた。
「……しかし、それにしても凄い臭いッスね」
オレは思わず悪態をついてしまった。それほどにオレは現場の匂いに参っていた。
「腹んなかブチまけてるからな。クソ袋出てんだ。我慢しろ」
いつまでも新米気分でいるなよと釘をさすと、五十嵐警部は切り替えるように声のトーンを少し上げて聞いてきた。
「家族に連絡はいってるのか?」
「ハイ、すぐこっちに来るはずです」
「よし。遺体確認させたら、すぐ聞きこむぞ」
「ええ……? ちょっとは気遣ってやりましょうよ……」
「実の娘が殺されて、数日まったくらいじゃ平静さは取り戻せねえんだよ。こういうのはスピード勝負だ。気遣う時間がもったいねえ」
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