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「…ちょっとチハル、なに笑ってんの」
雰囲気を察したのか体を離して、俺の顔を覗きこんだニコラがふて腐れた声を出した。それに俺の頬はさらにだらしなくなる。
「ごめん、嬉しくて。あと、可愛い」
言いながらニコラの首に腕を回した。なんの催促かはすぐ通じて、唇に温かい体温が重なる。それが嬉しくてまたふふっと笑いを溢すと頬をむにゅっとつままれた。
「笑い事じゃないんだけどー」
尖った唇が可愛くて、その唇に吸い付いた。
「俺が好きなのはニコラだけだし、ニコラしか知らないことのほうが多いと思うけど?」
上目使いで笑いながら言うとニコラが目を細めた。
「俺、チハルが茄子が嫌いだったって知らなかったもん」
もんってなんだもんって。可愛すぎ。
最早開き直って拗ね始めたニコラに撃沈する。普段は包容力の塊みたいなくせに、拗ねているニコラはめちゃくちゃ可愛い。恋人が拗ねているのをめんどくさいとか思わずに、可愛いとか思っちゃう俺は相当ニコラに惚れている。
「ニコラのしてほしいこと1個、なんでもするから機嫌直して?な?」
鼻の頭にキスを落としてそう言うと、ニコラの目がぎらっと光った、ように思えた。
「…なんでも?」
「う、ん、なんでも」
「わかった」
ペロッと雄臭く唇を舐めたニコラ。俺の背中につーっと冷や汗が伝う。あ、これミスったかも…俺今からヤバイんじゃ…
初対面 end
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