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ひとしきり笑ってから、二人でレシピをそっと片付けた。
「これでチハルのお母さんの味と約束は巡り巡ってちゃんと繋がったんだね」
「ニコラと母さんの約束もな」
本棚の上段にしまわれていたそれは、また大事にしまわれた。それをニコラが満足げに見上げる。
「でもすごい偶然だよな」
「運命かもしれないよ?」
感慨深くそんなことを呟くと、ニコラが相変わらず甘い気障な言葉を吐く。
その悪戯っぽい笑顔がどこか母さんと重なって見えた。
「今年最後にサプライズ」
「誰から?」
「さあね。でもいい年越しだね。来年もいいこと有りそう。まあ、チハルがそばにいること以上のいいことって早々ないけどね」
「はい解散っ!」
甘すぎ!何年一緒にいても慣れない甘い言葉に真っ赤になった俺にニコラがくすくす笑っている。
「っていうか片付け!終わってない!」
はっと時計を見るともうとっくに夕方になってしまっていた。出した物だけでもせめて片付けないと!慌てて二人で動き出す。
遠くの方からは人々の賑やかな声が響いてきた。
めぐりめぐる end.
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