肉じゃがとオリーブ

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店に招き入れられて、中に入る。いつもと違って暗い店内はしんとしていて少し寂しく感じた。 「ここは寒いから上に行ってて」 ニコラに言われて階段を上がる。初めて来た日以来のニコラの部屋は明るくて暖かくてほっとした。 ニコラも間を空けず階段を上がってきた。 「お腹空いてる?」 言われて頷くと 「そこらへんに座っていいよ。ちょっと待っててね」 そう言ってまた階下に下りていった。言われた通りに俺はソファに腰を下ろした。ニコラを待ちながら考える。……なんでニコラはあんなに真剣だったんだ?俺、そんなにヤバそうに見えたかな。確かにお腹は減っていたけども、それは見た目からわかるものなのか? ぐるぐると思考を回していると階下から美味しそうな匂いが漂ってきた。試作品だと言っていたけれど何を作っているのだろうか。すんっと匂いを吸い込んでみる。ん?なんか嗅いだことあるなこれ…この匂い知ってる… 少したってニコラがお皿を持って部屋に入ってきた。 「お待たせ」 そう言いながら俺の前に皿を置く。深めの皿に入ったその料理は 「やっぱりそうか!肉じゃがだ」 香ばしい匂いを漂わせるそれは日本定番の料理だった。 「わかってたの?すごいね」 ニコラが言いながら箸を差し出してくれる。 「え、箸?」 「うん。和食を食べるならお箸でしょ。さ、冷めないうちにどうぞ」 促されて手を合わせた。 「いただきます」 「イタダキマス」 いつもの挨拶をすると自分の声にニコラの声もかぶさって驚いた。片言のいただきます。見るとニコラがにこにこと笑っていて俺も自然と笑顔になった。誰かといただきますを一緒に言ったのは久しぶりで、なんだか嬉しかった。 しっかり色がついたじゃがいもを箸で割る。ほくほくのそれはとても柔らかくて軽く箸が通った。口に運ぶと、独特の甘辛いような味の染み込んだじゃがいもはほろりと溶ける。
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