イロトリドリの世界

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そして羽月に北山さんへの想いを言葉に露わにされ、顔に熱が集まる。 そんな私の様子を見て、ハンドルを左に切りながら羽月は浅いため息をついた。 「莉瑠、前から思っていたけど、仕事にはあんなに熱くて真っすぐになれるのに、どうして恋愛になるとこんな幼稚は反応しかできないの? 深くは聞いたことはなかったけど、もしかして付き合ったことがないとか?」 「そ、それはさすがにない……」 「だったら、処女?」 「んなっ……!!」 「うわ、図星?!」 「違うー!! でも、その、か、数えるくらいしか……」 羽月からの質問に流れ去れるまま、過去の恋愛を曝け出してしまう私。 こんなこと羽月には初めて言ったけれど、私は大学生の時に一度だけに二歳年上の先輩とお付き合いをしただけで、それ以降、恋愛に関してはさっぱり経験がないのだ。
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