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「なるほどねー。これじゃあ、あのいいひととは恋愛になかなか発展しないわけだ。向こうもガンガンにくるタイプじゃないもんね」
羽月は思い悩むように顎に指を添え、私達をどうにかしようと考えているようだ。
でも、私は手汗を掻いている手でシートベルトを握り、目を瞑って言い返した。
「だ、だから、北山さんと恋愛関係を私は望んでいないの……! こ、これからは本当にそういうことを言うのやめて。私は北山さんに迷惑をかけたくないの」
「じゃあ、その性悪女のいいなりになるの?」
「……」
羽月に的確に言い返され、無言になってしまう私。
楓さんが言っていたとおり、北山さんのためを思うなら私は離れた方がいいのかもしれない、という考えは変わらないでいる。
私のような足手まといがいる以上、彼の仕事の邪魔にしかならないから、不必要な接触は避けた方がいいと思い始めはいる。
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