イロトリドリの世界

37/40
1704人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
「莉瑠が言っているのはそういうことだよ? あの女のいいなりになって北山さんから離れて、仕事だけのお付き合いになるつもり?」 「だって……会社ってそういう場所じゃない。北山さんだって社内恋愛は向いてないって自分でも言ってたし」 「はっ? あの人、バカじゃないの! 莉瑠に向かってそういうこと普通言う?!」 「これじゃあ先に進まないわけだわ」と羽月は呆れたようにため息をついていた。 もう頭の中で色々な想いが駆け巡り、私の許容範囲をとっくに超えていた。 「私……は、仕事が一番だから。だから、北山さんのことは今は……」 「あっそ。じゃあ、もういいわ。私はもう何も言わない。でも、そういうことをしているとね、本当に大事な物を見失うよ。あとで後悔しても知らないから。莉瑠も北山さんもね。気弱なのにもほどがあるわ、あの人」
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!