お人好し女は鉄の女になる。

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そんな顔で北山さんに会いたくなく、そしてちゃんと喋れるわけがないから、余計に距離を取ってしまう。 なんだか、全てが空回り状態で、うまくいかない日々が続いていた。 「今日も残業?」 「うん、残らなきゃ」 「あんまり無理しちゃだめよ。いつか倒れるわよ、アンタ」 羽月からそう言われ、空元気の笑顔で答える。 体力には自信があるからそんなことはありえないだろうって自分でも思っていた。 そして、その日もプロジェクトメンバーはもちろん残業で残っている。 パソコンのキーを叩く音に線を紙に描く音、マウスが小刻みに鳴る音が静かなフロアに響いていた。 「富田さん、お疲れ様。よかったらこれ飲む?」 何も描かれていないペンタブと睨めっこをしている私に気遣うように声をかけてくれたのは、以前も作ってくれたカフェオレをマグカップ淹れて用意してくれた北山さんだった。
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