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「北山、お前も自分の仕事もあるだろうけど、ちゃんとチェックしてやれ」
「はい、もちろ」
「い、いえ! 大丈夫です! 北山さんにはご迷惑をおかけしませんから! 最後のチェックだけお願いしてます!」
作業途中の自分のデザインを見せて北山さんの仕事の邪魔をしたくない私は、北山さんの声を遮り熱く言い放ってしまう。
それを聞いて悲し気に眉を下げ、北山さんはデスクに戻って行った。
飯田部長のデスクの前に残されたのは私だけ。
そんな私を見て、部長は浅いため息をつく。
「富田、北山がどうしてお前と一緒に仕事をしたいと言い出したと思う? 少しはアイツの気持ちもわかってやれ」
「でも……」
「その気持ちがわからなきゃ、人を楽しませる玩具なんぞ絶対に作れないからな」
部長のきつい言葉に、グッと喉が苦しくなる。
私のやっていることって間違っているのかなって……そんな気にさせられるからだ。
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