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つい、普段の彼が戻ってきて、本音を滑らせてしまった。
北山さんも私の「好き」の発言に驚き、目を見開いている。
「あっ、あわわ……す、すみません……!! 私ったらなんてことを……!」
「いや! いいよ! もう一回! もう一回ちゃんと言って!!」
「えぇぇ!」
北山さんは目を見開いたまま、私の手を強く握り返すと前につんのめって催促してくる。
私はその至近距離に肩が上がり、せっかく冷めていた身体の熱さが再燃焼してきた。
「そ、それは、その……」
「今度はちゃんと聞く。しっかり聞くから。誤魔化さないで言ってほしい」
北山さんが真剣な眼差しになって私を真っ直ぐ見つめてくる。
その瞳と強い想いから逃れられなくて、私も覚悟を決めた。
「えっと……き、北山さん……」
「うん」
「私……あの、私」
「……僕は、富田さんのことが大好きだよ」
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