”いいひと”と言われる僕

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彼女の存在は、僕にとってまるで魔法みたいだ。 創作の妖精といっても過言ではないのかもしれない。 (妖精か……ちびキャラクター案に天使とか魔法使いとか使い切ったから、次は妖精でアイディアでも出してみようかな) 子ども達の心揺さぶられるキャラクターを作るとなると、大人の硬い頭で考えたアイディアなんかでは、その心に届くことがまずない。 大事なのは、とても純粋な心で大人も自分を忘れて見入ってしまうようなそんなデザインだ。 だから、富田さんのような真っ直ぐでピュアな人をみると、無性に手に入れたくなる。 (はぁ……一緒に仕事がしたいな……) そんな僕の想いは彼女に届いてるだろうか。 歯痒さに地団駄を踏みそうになりながらも、僕は頭を振って意識を戻し、スケッチブックと向き合った。
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