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「どうぞー、あっ、カギだけ締めといてー」
ダーティーは鍵を閉めると、いつものようにリビングに行った。
「急にこんなこと言って申し訳なかったね」
「こんなこと、って今日家に来るって話?」
「まあそうだけど、トマシと一晩過ごしたい、ってことかな」
トマシは頭を掻きながら困った顔で言った。
「ダーティー、もしかしてあれって俺と寝るってこと?」
「まぁ、急に困惑するよね。
僕は思ったんだ。
セカンズビッグバンはいつ起きるかわからないと言われているけど、裏世界に飲まれた時、後悔の感情という裏物質だけが残ったとしたらどうやって解消されるんだろうか、と。
裏物質も循環があるから、その過程で嫌でも消滅するとは思うけど、それまでその後悔を持ち続けるのは嫌だなって」
「まあまあまあ・・、暗に言おうとしてることはわかったけど。
で、俺にどうしろと?」
「僕の行為に対して、問題なければ受け入れてくれればいいし、嫌なら拒否してくれたらそれでいいよ」
トマシは変な感覚があった。
ダーティーは今まで彼女こそいないものの、おそらくそれはダーティーの変わった性格的雰囲気が原因で、中性的なかわいらしい顔立ちをしていた。
初めて会って間もない時も、男とわかっていながらも、かわいいな、と思って見てしまっていた時があったのは事実だ。
また、何も知らないで見たら普通にかわいい系イケメンでしかないから、女友達から紹介を頼まれたこともあったくらいだ。
実際、無理やり行為をしてきた人もいたらしいが、流れのままにダーティーだけは終了するが、それ以上を求められても断っていた。
もちろん、その人達からすればそれだけでもかなり満足していたらしいが。
そんなダーティーが・・と想像すると、他の人に持つような変な嫌悪感が出てこなかったのだった。
トマシはダーティーの行為を受け入れると、自然とダーティーに返していた。
何度も終わりを繰り返す途中で、ダーティーは言った。
「僕は思うんだ。
この瞬間にセカンズビッグバンが起きてくれればどんなに良いかと。
セカンズビッグバンは、前兆無き瞬滅と言われるように、本当に突然起こるらしい。
どうせ終わりを迎えるのなら、そんな終わり方がいい。
そうすれば共に裏物質となった時も、循環で消滅するまでこうしていられるのに、と」
「なんか不思議だよなぁ・・」
「不思議?」
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