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1章:はじめまして、親友
1ヵ月と少し前。
恵梨(えり)が小学5年生になって少しした頃のことだ。
通っている国都(こくと)小学校は、3年生と5年生のタイミングでクラス替えがある。
そのクラス替え。恵梨はそれまで仲の良かった子たちと、丸々別のクラスにされてしまった。
「クラス替えは、先生がみんなの友達関係を考えて決めてくれるから、きっと大丈夫よ」ってお母さんは言ったのに。
5年生の初日。クラス替えに張り出された掲示を見て、恵梨は泣きたい気持ちになった。
確かに、同じクラスとして書いてあった名前の中に、ちょっと仲の良い子たちはいた。けれど女子の作るグループでそれまで一緒だった子たちは、誰一人一緒ではなかったのだ。
「大丈夫だよ」
「隣のクラスじゃん」
「離れてても友達だよ」
みんな、そう言ってくれたけど。クラスが違うというのはやっぱり大きい。
「うん、ありがとう」と言ったけれど、恵梨の悲しさと不安はなくならなかった。
別に仲の良い子たちが全員同じクラスになったわけじゃない。2人と3人に分かれていた。けれど、1人きりになったのは恵梨だけ。
今まで同じクラスで『ちょっと仲の良かった子たち』のグループに入れてもらうしかないのかな。その子たちだって、優しい子たちだと思う。だから恵梨が「入れて」と言えば、入れてくれるだろう。
でも今まで一緒だった子たちとは『仲良し度』が全然違うのだ。同じくらい仲良くなれるかはわからない。
恵梨はもともと、どちらかというとおとなしい性格だった。今まで仲の良かった子たちだって、1年生から一緒だったから仲よくなってこられたといってもいい。
なのでいまさらイチから『すごく仲のいい子』を作るというのは、不安が大きかったしおっくうでもあった。
それでもやらないわけにはいかない。
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