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妊娠という単語を飲み込むのに時間が掛かったが、それを理解したあとの喜びはなんとも言えなかった。
俺と夏美の子が夏美のお腹に居るのだ。
夏美の小さなこの身体の中で、まだ小さいだろう俺達の子が確かに居るのだ。
そして、午後予約した産婦人科で更に驚きの一言が告げられた。
「はい、妊娠してますね。妊娠6週です。あとね、薄らとだけど膜が別れてるからきっと双子ちゃんだと思いますよ。来週また来てくれたらもっとハッキリするからね」
「え、双子?!」
驚き俺と夏美は互い見つめ合いつつも、お腹に居るのがまさかの双子に喜びは更に増した。
病院の帰り初めての事になるので、二人で本屋により妊娠出産に関する本を買い、役場にも寄って婚姻届を貰ってきた。
届けを出すのはエドに電話してからになるが。
子どもが出来たのだから式よりも先に籍を入れようと、夏美と二人で話して決めた。
本を読めば、双子に関しては安定期という概念は捨てよ。
妊娠とは、いつ何があるかわからないが双子は更にだと書かれていた。
夏美に何かあるなんてと、想像したくはないが、それだけ出産するという事は大変なのだと本を読んでその時に感じた。
それからは更に率先して家のことは俺がやった。
「今から頑張ると疲れちゃうよ?」
と苦笑しながら夏美には言われたが
「いいんだ。夏美は自分とお腹の二人のこと考えて無理するなよ」
そう言うと、夏美はクスクスと笑いながらお腹に話しかけていた。
「心配性なパパよね。さぁ、元気に産まれるためにおおきくなぁれ」
そんな声掛けをする、夏美の顔はもう既に穏やかな母そのもの。
そんな夏美を見守りながら、俺も日々夏美のお腹の我が子に声を掛けて過ごした。
夏美の妊娠を伝えると、喜び勇んでイギリスからエドワードも飛んできてたくさんの玩具やベビー服を買い置いていった。
気が早いと、二人して笑って有難く受け取った。
その後も順調に妊娠期間を過ごし、双子はすくすくと成長して、夏美のお腹は大きくなっていった。
もうすぐ出産。
奇跡的な出会いから、互いに歩んで、家族になって。
これから更に、二人増える。
これからも、きっと俺達の幸せは増えていくんだろう。
side明 Fin
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