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「その戦いぶりに恐れを持って勇者から目を逸らすのは……ああ、うん、そういうことね」
「仕方のないことだ。凄惨なる戦いは民草には辛かろう。特に子供は親に目を塞がれるほどだ」
「どう考えても、あなたの格好を見せないようにしているんでしょうが!?」
「……確かに血に染まったこの身は軽蔑されてもおかしくはないな」
「まずは服を着ろって言ってんのよ!」
これだけツッコミを入れているというのに相手はまるで理解しない。
こっちは久々のツッコミで息が上がっているというのに不平等だ。
そう思って魔王が睨みつけるが相手はどこ吹く風だ。正直ムカつく。
「いや、流石に戦う時以外は着ているぞ?」
「あ、よかった。てっきり普段の生活も裸なのかって」
「まあ、マント一枚しか身にまとっていないが」
「余計に変態度が上がっているじゃない!?」
この男、よく今まで衛兵に通報されなかったな、と思ってしまうのも無理はない。
変態でないにしても、変態という名の勇者であることには変わりはないのだから。
「そもそもなんで裸なのよ、この露出狂!」
「む、露出狂とは失礼な。この格好にはれっきとした理由があるのだ」
「理由…?」
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