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桜が舞う……。
ハラハラと。
私は、先生に想いを寄せたまま三年になり、卒業する。
「先生!!」
「どうした、水島」
美術室に飾られた、私の絵を背に、大きく息を吸う。
あの日、先生の涙を見て先生に恋をした。
だから、ここで気持ちを伝えると決めていた。
報われなくてもこの想いを、胸に抱えたまま卒業したくなかった。
「先生、私……先生の事がずっと好きでした」
「水島……」
「先生が、卒業式にここで泣いてたのを見たあの日から……ずっと先生が気になって」
「……やっぱり、水島だったか」
「はい」
「すまないが……先生は、ずっと水島の先生だから、お前の気持ちには答えてやれないよ」
「やっぱり、同じ答えですね」
「え?」
【好きです】と書いてた下には、【先生は、ずっと中谷くんの先生だから、中谷くんの気持ちには答えられないわ】と書かれてあった。
先生も、昔好きだった先生ふられたんだ。
「いいえ、なんでもないです」
私は、窓際の先生の横に立ち微笑んだ。
上手く笑えてないかもしれない。
でも、悲しくはない。
ふられても、気持ちを伝えることが出来たから。
「先生を好きになれて、高校生活楽しかったです」
「俺も、お前が生徒で楽しかったよ」
先生は糸目をより一層細めて、私の頭をわしわしと撫でる。
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