先生は……先生。

3/4
前へ
/14ページ
次へ
 桜が舞う……。  ハラハラと。  私は、先生に想いを寄せたまま三年になり、卒業する。 「先生!!」 「どうした、水島」  美術室に飾られた、私の絵を背に、大きく息を吸う。  あの日、先生の涙を見て先生に恋をした。  だから、ここで気持ちを伝えると決めていた。  報われなくてもこの想いを、胸に抱えたまま卒業したくなかった。 「先生、私……先生の事がずっと好きでした」 「水島……」 「先生が、卒業式にここで泣いてたのを見たあの日から……ずっと先生が気になって」 「……やっぱり、水島だったか」 「はい」 「すまないが……先生は、ずっと水島の先生だから、お前の気持ちには答えてやれないよ」 「やっぱり、同じ答えですね」 「え?」  【好きです】と書いてた下には、【先生は、ずっと中谷くんの先生だから、中谷くんの気持ちには答えられないわ】と書かれてあった。  先生も、昔好きだった先生ふられたんだ。 「いいえ、なんでもないです」  私は、窓際の先生の横に立ち微笑んだ。  上手く笑えてないかもしれない。  でも、悲しくはない。  ふられても、気持ちを伝えることが出来たから。 「先生を好きになれて、高校生活楽しかったです」 「俺も、お前が生徒で楽しかったよ」  先生は糸目をより一層細めて、私の頭をわしわしと撫でる。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加