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桜が舞う……。
ハラハラと。
それは、まるで三年間の恋心を散らしている様で、悲しくも美しい。
***
「あぁ~。今井先輩、卒業しちゃった」
「告白した?」
「ないない。だって、今井先輩、矢野先輩と付き合ってるんだって。同じ大学で、ラブラブなキャンバスラブだよ」
「マジかぁ~~」
「ねぇねぇ。茜は、誰か憧れの先輩いなかったの?」
「いない、いない、だって美術部、男の先輩いなかったもん」
「あぁ……。顧問の物理オタクのなかやんだけか、男は」
「そっそ~」
「お気の毒さま」
憧れの先輩。
憧れの先生。
自分より年上の男性に、憧れる気持ちはよく分かる。
頼もしく、優しく、そして少し危険な香りがするから。
同級生が、そういう恋に色めきだっている中、私は何処か冷ややかな目で見ているタイプだった。
年上への憧れより、子供扱いされるのが嫌いだから。
恋愛をするなら、対等でいた。
そんな事を思っているから、子供扱いされるのかもしれないけど。
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