先生の涙

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 数学担当の中谷(なかや)先生。  通称【なかやん】。  歳は、20代後半と、女子高生が色めき立つ年齢ではあるけど、残念ながら見た目が……。  昭和の匂いがする黒縁眼鏡に、ボサボサの髪、ヨレヨレの白衣。  眼鏡を外すとイケメンという、フラグが立ちそうではあるが、眼鏡を外しても残念な糸目。  と言うわけで、女子高生の恋愛対象外となっていた。  そんななかやんは、美術の顧問をしてくれているが、全く美術には興味がないらしく、いつも窓際で、物理の本を読んでいた。 「あ、筆箱部室に忘れてたんだ……」 「じゃあ、待っとくよ」 「いいよ、後で追いかけるから。先に行ってて」 「オッケー、じゃあ、茜早くおいでよ」 「了解」  部活がないこんな日は、友達とファミレスに行くか、カラオケに寄って帰っていた。  でも、私は歌はあまり得意ではない。  忘れ物をしたのをいい口実に、私は部室に筆箱を取りに向かった。  
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