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残留思念再生
「ただいまぁ…」
玄関で聞こえた声に…沢渡 萌音(さわたり もね)五歳は…ビクリとして背筋を伸ばした…
「お…お帰りなさい…お父さん…」
帰宅した男は…萌音の顔を見るなり言った…
「反省文は…?書けてるんだろうな…」
萌音は慌ててテーブルの上の紙を男に渡した…
きのう、ごはんをこぼしてしまったこと、きょうはぜったいしません、おなじしっぱいはぜったいしません、ゆるしてください。
男は紙を見て、台所に行くと、乱暴に茶碗にご飯を山盛にし…お椀に味噌汁をギリギリまで入れた物を、萌音の前に置いた…
「こぼさず…全部食べろ…3分で…」
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
萌音は…ぎこちなく箸を持つと…茶碗に山盛りのご飯を口に運んだ…
時計を見ながら…萌音は慎重にお椀も啜った…
「あと2分!」
ビクッ…
男の声に、萌音は半分近く飲んだ味噌汁のお椀を…小さな手から落とした…
カコンッ…
テーブルの上に味噌汁が広がると…男の顔が恐ろしい形相に変貌した…
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
「何を見てるの…シュンパティア…」
シュンパティアは険しい顔で…その様子を見つめていた…
「あれは…何故…自分より小さな生き物を殴っているの…」
「ウフフ…あれは虐待って概念よ…自分より弱い生き物に対して、自分が勝っている事を実感する為に、支配する行為…一般的に劣る者が自尊心を保つ為に行うのよ…あの人間…ウフフ…鬱憤が溜まっているわね…誰かに叱られたのかしら…」
「誰かに叱られたら、弱い者を殴るの…?そんなの許せない…私あの子供を助けるわ…」
ガシッ…
シュンパティアの腕を…セブティアが掴んだ…
「アナタが一度…あの子を助けた所で、何も変わらないし虐待は明日も繰り返されるわ…前に言ったわね…表面だけを見ても…本質を見抜かなければ、何も解決しないわ…あの人間は地獄に堕ちる…何年先か分からないけど…それから責め苦を与えたら…?うふ…」
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