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「だって…本当に思ったから…」
少女の様な生き物は…下を向いた…
絵里子は、近付くと右手を差し出した…
「ありがとう…可愛い悪魔さん…アタシ真城崎絵里子…こんな優しい事を言われるなんて、しかも悪魔から…信じられないけど…凄く嬉しいわ…」
絵里子が差し出した手を…シュンパティアはそっと握った…
「冷たい…こんな冷たい手…初めて…」
絵里子は両手でシュンパティアの手を挟むと…息を吹きかけた…
憎いなら…殺せ…!
次の瞬間…絵里子の脳裏に、不気味な声が響いた…しかし…その声は、今の絵里子の気持ちを代弁する声だった…
「んあっあああーっ!
シュンパティアの前で絵里子が、頭を抱えて叫び出した…
「絵里子…!」
シュンパティアの背後に…セブィティアが降り立った…
バサバサバサ…
「あぁ…始まっちゃったか…ウフフ…」
「何が!何が始まったの?セブィティア!」
「あの人間は…同族に裏切られた憎しみを…開花していたわ…その香りを悪魔は見逃していなかったのよ…ほら…見なさい…あの人間の頭上を…」
絵里子の頭上から…下半身が蜘蛛の女が、太い糸を伝って…降りてきていた…
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
abyssum irent
アビュッスム・イレント
ラテン語で、底なし沼の意味を名前に持つ悪魔…意識だけを沼地に送り、ゆっくりと切り刻む…
「なんで…アビュッスムが…」
シュンパティアが驚愕した…
「アビュッスムは…多分かなり前から、あの人間に目を付けていたのね…ほら…合体を始めたわ…ウフフ…」
「だ…だめぇぇぇぇぇーっ!」
絵里子の身体に…蜘蛛の女が同化すると、絵里子の瞳が…金色に輝いた…
ビュッ…!
蜘蛛と同化した絵里子は、その場をジャンプすると、姿を消した…
「ウフフ…絵里子…明日からまたオジサマの相手よ…あははははは…やられ過ぎて狂わないかしらぁ…」
真紀は、売り組織の事務所で高笑いした…
ふっ…
突然部屋の照明が暗くなった…
「ちょっ…ちょっとどうしたのよぉーっ!」
チャプッ…
真紀は叫んだ後で…自分が沼地に居る事が分かった…腿まで泥に浸かり、身動きが出来ない状態で、前方から何かが水の中を泳いでくるのが分かった…
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