私の声が聞こえる…

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私の声が聞こえる…

「こんにちはぁ…」 「あら…亜里沙ちゃん、こんにちは…学校の帰り…?」 宮城 亜里沙(みやぎ ありさ)は、近所でお辞儀した… 「はいっ…これからバイトです。」 歩き去る亜里沙を見つめ…主婦は微笑した… 亜里沙は近所でも評判の、礼儀正しい美少女として有名だった… 駅で老人の荷物を運んであげている場面や…泣いている子供をあやし…話し相手になっている場面…道でいきなり倒れた人を見て救急車を呼び、見ず知らずの人に病院まで付き添う為に救急車に乗り込む場面…亜里沙に纏わる、良い話は上げればキリがない程に、この地元民に浸透していた… それから数時間後…亜里沙がアルバイトに行く為に、駅に向かっている途中、立ち寄った大型店の本屋で、雑誌を選んでいる時に…事件は起きた… サングラスをした男性2人が、カウンターの人間に入口のシャッターを降ろす様にナイフを突き付けて脅したのだ… ウィン…ウィン…ウィン… シャッターがゆっくりと下がると…男達が叫んだ… 「てめぇら、大人しくしろぉぉぉぉぉーっ!ぶち殺すぞおぉぉ!」 ゴゴゴゴゴゴ・・・・・! 何が起きたかは…一目瞭然だった… 宮城 亜里砂の立ち寄った店舗に…強盗が入ったのだ… 男は、近くの女性従業員を捕まえると…首にナイフを突き付けて言った… 「会社に連絡しろ…田中 義隆が…復讐に来たと…」 亜里砂は状況を理解した… この男逹は、何らかの理由で会社を解雇された人物だと… シュンパティアは…その様子を見つめていた… 数日前…自転車に轢かれた幼い子供を見て…シュンパティアは姿を表して助けようか迷っていた…悪魔の姿を曝して病院に連れていく事など、出来ない…しかし…今はピクリとも動かない… シュンパティアが…自分の無力さに…涙を溢した時… 亜里砂が通り掛かり、子供を病院へ運んだのだ… それから、シュンパティアは度々亜里砂の行動を観察しては、その優しい人柄に惹かれていたのだった… その亜里砂が、窮地に陥っている… 助けなきゃ… シュンパティアが動こうとした時…セブティアが鎌を前に差し出した… 「セブティア…邪魔しないで!」 「まさか…デーモンが人間を助けるんじゃないでしょうね…」 セブティアの顔は…いつもより冷たく冷酷な顔を向けた… image=510390147.jpg
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