私の声が聞こえる…

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すると…セブティアが、また鎌を前に差し出した… 「見なさい…あの娘の顔を…」 セブティアに促され、亜里砂の顔を見たシュンパティアは…眉間にシワを寄せた… 亜里砂の顔が…醜く歪み、笑みを溢していたからだ… ギャァァァァァ・・・ン・! 次の瞬間…亜里砂は倒れている男の頭からハサミを抜き取ると、それを先程呟いた女性客の目玉に突き刺した… ズブゥゥゥ・・・・・! そう…そうよ… 気持ちいいでしょ…? 人を殺すのって… 亜里砂の脳裏に…囁く女性の声が響いた… それは…幼い頃から…時たま聞こえてきていた…恐ろしい囁きだった… 「あの人間は…二つの人格を抱えて生まれてきているわ…日常で善を行う一つと…真逆の悪の人格を…そしてあの子は…日常で善意を行う反動で、小動物を殺してバランスを保っていた…」 セブティアは、冷酷な笑みで言った… 「そしたら…私が見ていたのは…」 シュンパティアが、下を向いた… 「言ったでしょ…人間の本質を見極めるには、表面的な事を見てても分からない…内に秘めた深淵が…広いか狭いかで、私達との境が変わるわ…あの人間は…悪魔に最も近い人間よ…」 ギャァァァァァ・ン・・! 亜里砂は…いつの間にか、全ての人質を…残忍に殺害して、返り血を浴びて笑っていた… フワァァ… シュンパティアが、亜里砂の目の前に表れた… 「どうして…うぅぅ…あんなに沢山良いことをしていたのに…どうしてなのぉの…うぅぅ…」 シュンパティアの瞳から…涙が溢れていた… 「私じゃない…私の中の声が…私に囁くの…殺せ…気持ちいいわよ…それがアナタの本能であり…幸せよ…って……うぅぅ……助けてよぉぉ…私を…助けてぇ…」 亜里砂は泣いていた… シュンパティアは亜里砂を抱きしめた… 「私には…どうする事も出来ない…ごめんなさいぃ…本当に…ごめんなさいぃ…」
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