第一章 夜中の家出

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Charles Wase Group ガロと死神の使い魔マニャック 下 死への旅編 Snow Field 2018/05/24 第一章:夜中の家出  「父ちゃん…あのさ…。」  仕事から帰ってきて、リビングでパソコンを見ている父親に、ガロは話しかけた。  「前にやってた清掃の仕事…辞めたんだ…。」  「あぁ…そうなんだね?」  ガロの父は彼の方に顔を向けた。ガロは目線を下におろした。一体、何を言われる…?  「…迷ってるんだね?ガロ…」  父は静かに言った。ガロはうなだれて顔を背けるのみだった。  「…一つ、自分が何をして生きていきたいのか、もう一度考えてみれば?そこから逆算して、自分の進路を割り出していく…。」  ガロはその言葉を呑んで、自分のやりたい事などを考えた。父はもう一言付け加える。  「きっとまだ払っていかなくちゃいけないものとか、いわゆる『借金』が無いし、お金を稼いでいく目的ってのが薄いから、続かないのかな?」  一つ一つの言葉が鋭利なナイフのように、ガロの心に突き刺さった。優しく声をかけてもらっているのはわかるが、ガロにとってはそれが逆につらかった。自分以外にも惨めな毎日を送っている人は大勢いる…。そう思うたびに自分の自信は墜落していく…。  「ごめん、父ちゃん…考え直してみる…。」  ガロは腹が痛くなってきたので、自分からその場を退いた。父も「あぁ…。」とだけ言って、またパソコンを見始めた。ガロの母親はそれを台所から聞いていた…。弟の一人は自分の部屋にいて、もう一人は隣の部屋で寝ていた。  自室に戻ったガロは、イスにどさっと座り込み、大きなため息をついた。それでも自分の心の中のモヤは出て行かない。何が正しい生き方なのか?いや…そんなものなど無い、誰もが勝手に自分の作りだした答えに向かって生きてるだけだ…。そう思えば、少しは気が楽になった。だがすぐにそれも後悔に変わる…。世の人間は一日中働き、子供は学校に行く…。なのに自分は昨日も今日も明日も家にいる…。ガロはこの世から消えたくなった。しかし自分で死ねる勇気も今は無い…。他の仕事やアルバイトを行うにも、無気力すぎて力が出てこない…。  …夜が深くなった。ガロは少し眠ってしまった。その間に、彼は自分のやりたいことを思い出した。  「あぁ…僕は絵が好きだったな…。絵を描いて金を得られれば…。」
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