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「責めてるわけじゃないの。でもね、わたし、色々考えてたのよ。
本当は自然に授かるのが一番いいのだけれど、それは『むずかしい』し……。
不妊治療も、あなた乗り気じゃなかったものね。わたしだってちゃんとわかってたわ。
だから、最終的には施設にいる赤ちゃんを特別養子縁組で迎えることも考えてたの。
けど……あなたは自分と血が繋がった子が欲しいみたいだったから……。もう少し様子を見ようと思った。
でも、そんな気遣い、必要なかったみたいね。
だってあなたは、自分と血が繋がっていない子供のために、こんなに一生懸命になれるんですもの。
だったら、早くわたしの考えを話して養子をとればよかったのかもしれないわね」
理絵はにっこりと笑うと、去っていった。
残された雄貴は、茫然と理絵の言葉の意味を咀嚼した。
そして、隣に座った公香の顔がどす赤くなっているのを見て、自分が取り返しのつかないことをしてしまったことを理解した。
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