真実を語る者、真実を騙る者

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「おっとぉ!威勢が良いな、それほどこの中に入りたかったのか!?」  さすがの「番人」も、ここまで京が早く仕掛けてくるのは想像できなかったらしくーー驚愕の表情を見せながらも、慌てて「輝石」を握りつぶす。 「はは、どうやらその右手がおぬしの十六能力(イザヨイ)のようだがーー果たして、ワシのこれに勝てるかな!?」  琥珀色の光の粒子が坊主の胸元から拡散し、「実体化」を始めようとしているこの瞬間をーー京は好機だと感じていた。  この坊主は、自身の十六能力(イザヨイ)をまだ発動させていない上に、京の青い右腕を彼の能力だと勘違いしている。「定立(テーゼ)」と「反定立(アンチテーゼ)」は、「輝石」も使わず、実体化もしない十六能力(イザヨイ)だ。初見で対応するのは、至難の業だろう。今このチャンスを逃さずに、この坊主を倒す。  相手が動揺しているこの隙を狙ってーー石田刹那を相手に使ったように、ギリギリまで近づいてから「反定立(アンチテーゼ)」による加速で一撃を入れる。 「おおおっ!」  そこまで考えてから、京は夜空まで届くような雄叫びをあげて突き進む。  ……だが。彼我の距離が、1メートルを切った瞬間。  京は、突如目の前に実体化した、琥珀色の宝石のような塊に頭から突っ込んでーーその動きを止めた。
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