188人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっとぉ!威勢が良いな、それほどこの中に入りたかったのか!?」
さすがの「番人」も、ここまで京が早く仕掛けてくるのは想像できなかったらしくーー驚愕の表情を見せながらも、慌てて「輝石」を握りつぶす。
「はは、どうやらその右手がおぬしの十六能力のようだがーー果たして、ワシのこれに勝てるかな!?」
琥珀色の光の粒子が坊主の胸元から拡散し、「実体化」を始めようとしているこの瞬間をーー京は好機だと感じていた。
この坊主は、自身の十六能力をまだ発動させていない上に、京の青い右腕を彼の能力だと勘違いしている。「定立」と「反定立」は、「輝石」も使わず、実体化もしない十六能力だ。初見で対応するのは、至難の業だろう。今このチャンスを逃さずに、この坊主を倒す。
相手が動揺しているこの隙を狙ってーー石田刹那を相手に使ったように、ギリギリまで近づいてから「反定立」による加速で一撃を入れる。
「おおおっ!」
そこまで考えてから、京は夜空まで届くような雄叫びをあげて突き進む。
……だが。彼我の距離が、1メートルを切った瞬間。
京は、突如目の前に実体化した、琥珀色の宝石のような塊に頭から突っ込んでーーその動きを止めた。
最初のコメントを投稿しよう!