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「なんだよあいつ……」
ひとり呟く京に、今度はガイから言葉が投げられた。
「なぁ、嵐山くん。きみが本物の嵐山 京だとしたら、あの坊主の誤解を解きに行ったほうがいいんじゃないのか……?きみのお姉さんが『蒼魔の塔』の中にいて、あの坊主がその番人をしている以上、彼に敵意を抱かれたままでは話が進まないだろう。……それに、あの坊主ときみのお姉さんが親しかったというなら、むしろ誤解を解いた後は心強い味方になるかもしれないんじゃないか?」
極めて論理的なガイの意見に対して、京は額に手を当てて、少し考えてから返事をした。
「確かに、その通りだと思います。……でも、あの坊主が、素直に話を聞いてくれるかどうかは分かりません。あの怒りようを見るに、俺が姿を現した瞬間に殺しにかかってきてもおかしくはないと思うんです」
「それは、そうだな……」
複雑な表情をして、ガイは再び黙りこんでしまった。
確かに、沙耶を助けに行くための障害として、あの坊主は超えるべき高い壁として立ちはだかっている。それを乗り越えるか、はたまた避ける道を探すかは、これからの課題といえるだろう。
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