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「は、はは、あと……6000ポイント……今日中に集めねえとおれは死ぬんだ。嫌だ、嫌だ、嫌だぁ……」
悪夢にうなされるかのように譫言を並べながら、装甲の男は拳を振り続ける。厘は幾度となく振り下ろされる攻撃を避け続けていたがーーついに、その一撃を受けてしまった。
「うっ……!」
少女の体が吹き飛び、壁にぶつかる。その表情が、苦痛にゆがむ。
京は、まだ動くことができなかった。
ここで逃げれば、自分は助かるだろう。下手に助けに入れば、自分が標的にされて、死んでしまうかもしれない。
こんな殺し合いの場でなくとも、誰かと衝突することを避け続けてきた京にとっては、一歩を踏み出して大男と戦うという選択肢を選ぶことは、足がすくむほど怖かった。
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