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脳が焼き切れ、灰となるような感覚に襲われながら、京は装甲の男に向けて「拒絶」の拳を叩きつけた。
エメラルドグリーンの装甲が、激しい音をたてて軋む。
……そして。
大男の体が、まるでゴムボールを床に叩きつけたような勢いで吹っ飛ぶ。拳がぶつかった箇所には、ちょうど黒い魔方陣と同じ大きさの跡が残されていた。
やがて地面に叩きつけられた男は、激しい衝撃音を残して、静かに動きを止める。
「……全部、思い出したよ」
拳の上に展開された黒い魔方陣を眺めながら、ゆっくりと、京が呟く。
「俺の死因は、自殺であっても飛び降りなんかじゃない」
頭が焼けるようなあの感覚は、失われていた記憶を思い出すための副作用。
「俺は、1年前に死んで、この世界に囚われた姉ちゃんを助けるためにーーこの世界に来るために、死を選んだんだ」
自殺をする前の記憶が、フラッシュバックする。
屋上の柵。眼下を行き交う人々。髭面の「博士」。時計に埋め尽くされた部屋。
「俺は、この世界で姉ちゃんを探し出す。そして、生き返らせる。……死んでも、だ」
群青に染まる星空を見上げて、一人の少年が決意を新たにした。
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