ハイツ・デネブ

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 青い壁に囲まれた部屋で、目を覚ます。  意識を失っていたのは、1時間か、1日か。  京は、きょろきょろと辺りを見回した。自分は今、細長い台のようなものに寝かされている。その台は六畳ほどの小さな部屋の片隅に置かれたものであり、台のほかに家具らしきものはほとんど見当たらない。その台にしたって、ベッドというにはあまりにも粗末な代物であり、まるで誰も住んでいない廃墟にひとり置き去りにされたような感覚を覚える。  そしてなにより目を引くのは、全面が青一色に統一された四方の壁、天井、床だった。ここが、「冥府」に存在する建物の中の一室であることは、疑いようもない。 「……起きたみたいね。具合はどう?」  ドアの向こうから声が聞こえると同時に、厘が部屋へと入ってきた。その足取りは特別に変わったところはなく、「装甲の男」から受けた傷はもう治っているようだ。 「まぁ、大丈夫、かな」  肩を回し、掌を開閉させながら、そう答える。厘は安堵の表情を見せ、ひとつため息をつくと、京の寝ている台に腰かけた。 「たぶん、慣れない『十六能力(イザヨイ)』を使ったことによる反動が出たんだと思うよ。あれって、けっこう精神力使うから」 「そうか……。ここは、一体?」
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