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「これもまた、俺の予想なんだけど……その『記憶を消す』っていう方法は、十六能力ではあって、十六能力ではないような気がするんだ。例えるなら、そうーー俺の、『定立』と『反定立』みたいに」
「それって、どういう……」
尋ねる厘に対して、京は青い右腕に白い魔法陣を、そして生身の左腕に黒い魔法陣を展開してみせた。
「この力は、『武操級』、『装麗級』、そして『巨臣級』のどれにも分類されない能力だ。『輝石』も使わなければ、『実体化』もしない。そういう意味で、これの本質は十六能力じゃなく、もっと別なところにあるんじゃないかって俺は思う。……それが何なのかは、まだ分からないけどーーあの人も、同じ匂いがしたんだ」
何かが判明したわけではない。――しかし、彼女が言っていた「あの塔に、すべての答えがある」という言葉は、偽りではないような気がした。
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