大いなるものの胎動

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「厘、八千代さん、ガイさん」  だから、少年はただ前に進むために、自らの仲間へと語りかける。 「この塔が、8000ポイントを持つ『府民』しか生き抜けないような、とてつもなく危険な場所であることは確かです。――でも、俺は姉ちゃんを助けたい。そして、サンを失うきっかけを作った、この『運営』を倒したい。だからこの塔を登ります。……勝手なお願いなのは分かっています。だけど、言わせてください」  そして、深呼吸をしてから、告げる。 「俺にーー力を貸してください」  その言葉を受けて、躊躇う者は一人として存在しなかった。  彼らは、ただ、力強く頷く。それだけの動作が、京にとってはなによりも心強かった。  そして、少年は奈落へと続くような穴の中へと一歩を踏み出す。  この世界で培ってきた経験は、絆はーーすべて、この日の戦いのために。
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