【第一層】夢幻の中に消えるとも

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【第一層】夢幻の中に消えるとも

 その空間は、まるで小さな宇宙のようだった。  美しいカーブを描く壁に刻まれた無数の線をなぞるように、時折蒼い光が生まれる。その光点は他の線から伝ってきた別の光点と交わると、ひときわ強い輝きを放ち、やがて小さくなって消えていった。それは星が生まれ、成長し、他の星とぶつかって消えていくさまを映し出したかのようで。 「ここが……『蒼魔の塔(リボラ・タワー)』……」  あまりにも美しいその光景に、京は今の状況も忘れて息をのんだ。隣に立つ厘も、壁を伝う光点を目で追っている。  塔の内部には、仕切りなど一切存在しない、広大な空間が広がっていた。天井は100メートルより遠いところに見え、そこには星明りのように白い光点が瞬いている。  その時、四人の「府民証」に「通知」の音が届いた。端末を取り出して、そこに表示された文字列を読む。
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