後日談、あるいは始まりの前日譚

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 ――「冥府」からすべての「府民」が生き返りを果たして、半年。京はこの春、高校生になった。帰ってきて早々に京を襲った「現実」は、高校受験という壁。それをなんとか乗り越えて、つい二週間前に、ふたつ隣の市にある公立高校にやっとの思いで合格したのである。  沙耶と同じ学校は、選ばなかった。なぜなら嵐山 京は嵐山 京であり、姉とは違うからだ。少年は、自分の意思で、これまで育ってきた環境の外、まだ見知らぬ土地の学校に行くことを決めた。自分の知らない人間と出会い、新しいことを知るために。
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