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ある少女との明晰夢
またしても、夢。
白濁した、とりとめもない空間を京は彷徨う。
波に揺られるように空間を流れるその体には、やはり、右腕の肘から先がなくなっていた。
夢の中であるというのに、そこからは針で刺したような痛みが這い上がってくる。
その時、痛みに耐え、苦悶の表情を浮かべる少年の前に一つの人影が浮かび上がった。 それは、いつか見た夢のように、あの髭面の「博士」でも、ましてや彼の姉でもなかった。
足元まで垂れた長い銀髪を持つ、小柄な少女。
ハイツ・デネブの住人にして、常に眠りこけているというーー大久保 四乃だった。
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