ある少女との明晰夢

1/6
188人が本棚に入れています
本棚に追加
/523ページ

ある少女との明晰夢

 またしても、夢。  白濁した、とりとめもない空間を京は彷徨う。  波に揺られるように空間を流れるその体には、やはり、右腕の肘から先がなくなっていた。  夢の中であるというのに、そこからは針で刺したような痛みが這い上がってくる。  その時、痛みに耐え、苦悶の表情を浮かべる少年の前に一つの人影が浮かび上がった。 それは、いつか見た夢のように、あの髭面の「博士」でも、ましてや彼の姉でもなかった。  足元まで垂れた長い銀髪を持つ、小柄な少女。  ハイツ・デネブの住人にして、常に眠りこけているというーー大久保 四乃だった。
/523ページ

最初のコメントを投稿しよう!