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「お互いに切磋琢磨するように、うちらは強くなっていった。どれだけの明晰夢を、一緒に倒したかわからん。……気がついたら、うちとあいつは、他の『府民』から恐れられるようなコンビになってた。うちらとばったり遭遇しただけで、命乞いまでしてきた『府民』もおったなぁ」
「い、嫌なことを思い出させるなよ……」
そこで口を挟んだのは、おどおどした様子の長身の青年ーーガイだった。
今のは笑っていいのかどうか、京が悩んでいるうちに、再び八千代が口を開く。
「そうそう。ガイくんに、ゴーちゃん、万太郎。いつの間にか、一緒に行動する仲間が増えて、うちらの集団はこの世界の中じゃまぁまぁな大所帯になったんよ。そしてーー頃合いを見て、このハイツ・デネブを拠点にして生活するようになった」
いくつか聞きなれない名前が出てきたものの、京はこの集団の成り立ちについて、おおまかに理解することができた。
「うちらがここに住んでから半年くらいで、厘ちゃんやサンくんもここの住人になった。特に、厘ちゃんは刹那が拾ってきたのもあって、よう懐いとったわ」
はは、と、八千代は小さく笑う。しかし、その表情に浮かんだのは笑みだけではなかった。何かを食いしばるようにして、車椅子の女性は続ける。
「刹那は、面倒見のいい、優しい奴やった。厘ちゃんのことも常に気にかけてて、よく稽古をつけてやってたなぁ」
「……」
厘は、押し黙ったまま、何も語ろうとはしない。
静寂の青に染まった部屋に、八千代の声だけが静かに響く。
「うちらは、その目的はどうあれ、この世界で生きるという点において、互いに助け合ってきた。利害関係だけやない。同じ十六歳で死んだ者同士、世界の理不尽と戦うため、心を一つにしてきたんや」
絞り出すような声は、きっと、自分に言い聞かせるためのものなのだろう。あの八千代が、今は小さく見える。だが、彼女は、そんな姿を見せながらも、京に向けて、真実を述べるべく言葉を紡ぐ。
「ーーでも。一か月前」
そして、核心へと。
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