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押し殺すようにその事実を告げた後、八千代は静かに目を閉じた。
厘やガイ、そしてサンも、お互いに目を逸らしたまま、何も語ろうとはしない。
長い沈黙。
それを破ったのは、その事実を実感しきれない京だった。
「……なんで、そんなことを」
「『蒼魔の塔』」
厘からの答えは、聞き慣れない言葉で示された。
「京も、知ってるでしょう?『冥府』の中央に聳え立つ、あの塔のことを」
蒼魔の塔。
それは考えるまでもなく、この街の中心に、圧倒的な存在感を持って屹立するあの塔のことだ。初めて見たとき、生前に見たスカイツリーよりも高い、という感想を浮かべたのは記憶に新しい。
だが、それが例の事件とどう関係するというのか。
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