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人と関わることを避けずに。
真正面から、向き合おうとしているのだ。
「……強いですね」
ぽつりと漏れた言葉は、京の本心だった。
八千代や厘が、少し驚いたように京を見る。そして、どこか優しげな笑みを浮かべて、
「強くなんかあらへんよ。うちらはただ、仲間とのけじめをつけたいだけや」
「私は、自分がどうするべきかはわからないけど……もう一度刹那さんに会って、この中途半端な気持ちに、決着をつけたいと思う。ーーその結果が、どうなるのであれ」
この場の全員が、覚悟を万全にしている。
京は、姉のことを聞き出すため。
そして他の面々は、「仲間」との決着をつけるため。
絶大な戦闘力によって、この「冥府」で8000ものポイントを集めた石田刹那と対話ーーあるいは、戦闘をする。
京は、死んだはずの自分の体に鳥肌が立つ感触を覚えた。
それが示すものは、果たして。
「どう転んでもーーここが、ハイツ・デネブの分岐点や。みんな、頼むで」
そう締めくくった八千代の言葉を受けて、ふと、京の頭に疑問が浮かんだ。
「そういえば……どうやって、あの人を呼び出すんですか?」
「ああ、それはまだ話してなかったな」
問いかけられた八千代が、神妙な手つきでポケットから取り出したのはーー「府民証」だった。
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