白鳥と刹那の交差点

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白鳥と刹那の交差点

 いつにも増して、星が強く輝いていた。  群青に染まる静かな夜。全てのものが死んでしまったかのように冷たい世界。  けれど、確かに、彼らは「生きている」。  ハイツ・デネブの冷たい壁にもたれかかりながら、京はただひたすらに時間が過ぎるのを待っていた。隣に立つ厘も、無言のままで天井を見つめている。  これから激しい戦いが始まるかもしれないというのに、京の心は不思議と落ち着いていた。昨日に感じた震えは、とっくに収まりーー今はただ、(なぎ)のように静かな鼓動を感じる。  思い出されるのは、八千代の声。
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