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「やっぱりひどいな、これは……。そうだ、八千代さんとかはまだ埋まってるんじゃないのか!?早く助けないとーー」
病弱そうな少年が、足元の瓦礫をどけようとしゃがみこんだ、その時だった。
彼の目の前にあった青い壁に、無数の線が走る。その数秒後、まるで細切れにされるかのように、壁は大小の破片に分離した。
壁の残骸は音を立てて地面に落ちると、新たな瓦礫と化す。
その向こうから現れたのはーー紫色に輝く刀を持った、美形の青年。
彼の出現に対し、咄嗟に身構えた京と厘であったがーー石田刹那は、驚いた表情を浮かべたまま、切り掛かってこようとはしない。
「厘……オマエ、『鮮光』が使えるようになったのか?」
彼は、二人が生きていたことよりも、厘があの技を放ったことに驚いているようだ。
「烈火矛槍」を構え、警戒する姿勢を見せながらも、厘が尋ねる。
「『鮮光』とは……なんのことですか」
「さっきの光のことだよ」
今ばかりは、戦うことを忘れたようにーー石田刹那は、饒舌に語る。
「十六能力の、第二段階とでも呼ぶべき代物だ。第一段階である『実体化』を施した武器、あるいはモノを取り巻くようにーー光の粒子を展開させる」
「第二段階……」
京は、思わずその言葉を反復した。
「実体化」とは、以前ハイツ・デネブの面々に教わった通り、十六能力を形にするものだ。厘ならば槍、刹那ならば刀、サンならば銃。一見、実体化を行っていないガイにしても、細かい粒のようなものを「実体化」させ、体に付着させているという。
だが、刹那の言う「鮮光」とは、それらとは違う、光を生み出す力のようだ。詳細についても気になるが、今は悠長に尋ねている場合ではないだろう。
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