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いや、この魔方陣のような能力。もしかすると、とんでもない威力が秘められているかもしれない。京は、掌の上に展開された「定立」を、すぐ隣にある建物の青い壁に向けて突き出した。イメージとしては、張り手をするような感覚だ。
謎の魔方陣が建物の壁に接触すると同時に、その壁が勢いよく破壊されるーーようなことはなく。
ただ、ぺたりと、京の掌が壁に触れただけであった。
「……なにも、起きないわね」
軽く苦笑いのようなものを浮かべながら、厘がコメントする。
「い、いや、時間差攻撃?ってやつかもしれないじゃないか!」
そう弁解し、京は1分ほど掌を壁に押し付けたまま静止する。
ーーだが、何も起こらない。
「おっかしいな……」
首をかしげ、手を壁から離そうとしたとき、異変は起こった。
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