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「そうですか……」
彼女は悲しむような声で、ただそれだけを告げた。その声色は、京が知っている彼女のそれよりは、少しだけ感情が含まれているように思えた。
少しの間が生まれたあと、白いマントの人物は、またしても憂いを帯びた声で、京たちに向かって語りかける。
「ーー善十郎の話を聞いてもなお、あなたたちは沙耶のところに行こうとするのですか。『融合』は、彼女自身が望んだことであるというのに」
「ああーー行くさ。なんせ俺は姉ちゃんの弟だからな。……それに、その言い方には語弊がある。『融合』は姉ちゃんが望んだことじゃなくて、『運営』が姉ちゃんに選ばせたことだろう?」
つかみどころのないような相手の態度にも、京は臆しなかった。強い口調で、白いマントの人物に反論する。
「ーーそれならば、仕方ありません」
対する彼女は、あくまでも落ち着いた様子で、自身を覆うマントの縁に手をかける。
「邪魔をするというならば……私は、あなたたちを止めなければならない」
ーーそうして、ひといきにマントを脱ぎ捨てーー隠されていたその姿を、京たちの前に晒した。
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