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バァン!という甲高い破裂音のようなものが炸裂する。
「うおっ……!」
その音に驚き、展開していた能力を解除してしまう。そのまま京の体は真っ逆さまに落下し、大きな音をたてて地面のタイルに激突した。
全身に衝撃が走るが、あれだけの高さから落ちたにしては軽い痛みだ。すぐさま破裂音のしたほうを見上げると、窓の中から不敵な笑みを浮かべる黒ずくめの少年が顔を覗かせた。
手には、おもちゃのような小さい拳銃。
「サン、あいつ……!」
恨めしい顔で睨むが、彼はただ「してやったり」という表情でほほ笑むだけである。すると、横から厘が歩み寄ってきて、
「ほら、びっくりすると能力が解除されちゃうでしょ。まずはそれをなくさないと」
「そうは言ってもな、ずっと集中するのはムズいんだよ……」
「そんなこと言うてても、明晰夢は待ってくれへんで」
あくまでも厳しく、八千代は告げる。
「とりあえず、次に奴等が出てくるまでに、『十六能力』の基礎は身につけとかなあかん。お姉ちゃんを見つけるまでに死ぬのは、新入りくんかて嫌やろ?」
「それは、そうですけど……」
不満そうな声を漏らしながら、自分の掌を見つめる。
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