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居間には、朝食をとっている父と母、そして今まさに家を出ようとしている沙耶の姿があった。京は両親に「朝ごはんいらないから!」と告げると、通学鞄を手に取り、沙耶と並ぶようにして玄関に向かう。
「……京、また寝坊?遅刻したら、高校の成績に響くよ?」
慌てた京の様子に、沙耶は口を尖らせる。革靴をはき、玄関の扉を開けながら、少年は早口で言い返した。
「今から走る!」
「……気をつけてね」
優しい声で告げた沙耶に軽く頷いてから、京は彼女とは反対方向に向けて走り出した。
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