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3日前の「顔合わせ」の際に見たきり、京は彼女と会うことはなかった。その時にしたって、彼女は部屋の奥で眠りこけており、顔までは見えなかったのだ。
その少女が、今、正面を向いて、京の目の前に立っている。
彼女は、見た目の通り幼い顔立ちで、どこか寝ぼけたように、しかし有無を言わせないような確かな口調で、京に問いかける。
「ーー生きたい?」
いきなりそんなことを問われ、京は少し面食らった。初対面の少女に、いきなりそんなことを訊かれて、即答できるわけがない。
ーー生きたい?それはどういうことだろうか。……ああ、自分は今、右腕を斬られて、失血死する寸前なんだな。これは走馬灯?いや、違う、夢だ。はっきりと、意識のある夢ーーつまりは。
明晰夢。
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