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「文哉、岸さん! わりい、たこ焼きの列めっちゃ並んでて」
「遅くなってごめんねほんと!」
遠くから声が聞こえる。たこ焼き組が、走って戻ってくる。
「おい、孝輔」
河野くんが藤井くんの肩に手を回して、ひそひそと何かを尋ねる。
いや特に何も、うるせえよお前だってフリーだろ、そう言いながら藤井くんがやれやれと首を振る。
河野くんがこっちを一瞥して岩瀬さんを指さす。
了解、と私はまだ痛む胸を抱えて小さくうなずいた。
「どうだった?」
「え、何が? ああたこ焼き? だいぶ並んだけど買えてちょー満足! ほら食べて!」
河野くんが頭を抱える。
二人っきりにしたけど結局何もなかったみたいだね、二人で視線を合わせて私たちは苦笑した。
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