3.言えなかったこと

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「文哉、岸さん! わりい、たこ焼きの列めっちゃ並んでて」 「遅くなってごめんねほんと!」  遠くから声が聞こえる。たこ焼き組が、走って戻ってくる。 「おい、孝輔」  河野くんが藤井くんの肩に手を回して、ひそひそと何かを尋ねる。  いや特に何も、うるせえよお前だってフリーだろ、そう言いながら藤井くんがやれやれと首を振る。  河野くんがこっちを一瞥して岩瀬さんを指さす。  了解、と私はまだ痛む胸を抱えて小さくうなずいた。 「どうだった?」 「え、何が? ああたこ焼き? だいぶ並んだけど買えてちょー満足! ほら食べて!」  河野くんが頭を抱える。  二人っきりにしたけど結局何もなかったみたいだね、二人で視線を合わせて私たちは苦笑した。
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